I am the vine; you are the branches

Shota Maehara's Blog

現代政治についての覚書―専制からの防波堤を市民は何処に築くのか

Posted by Shota Maehara : 11月 4, 2008

イギリスでは新自由主義のサッチャー改革の下で、民営化と同時に地方分権化が推進された。その後を引き継いだ労働党のブレア政権は民営化を踏襲しつつも、地方分権をより大胆に押し進めた。その結果、一九九八年には、スコットランドやウェールズにそれぞれの議会が設置され、立法と行政権を大幅に委譲した。こうしてロンドンの役割は縮小し、グレートブリテン北アイルランド連合王国は緩やかな解体過程にあるも、いまなお福祉社会の伝統が強く残り続けている。

それに対して日本ではどうだろうか。民主党が掲げる対案は、一方で地方分権を進め、霞が関の官僚の数を減らし無駄を無くして、行政の効率化を図るという。他方で、失業者や地方農村を保護するという。果たしてこれらは両立するのだろうか。むしろ私は次のように予測する。おそらく官僚による中央集権化は進み、公共サービスは民営化され、教育・医療などのサービスを受けられない人の数は増えるだろう。

確かに政府は、国民の後押しもあって、行政の簡素化・効率化のために、無駄を削ぎ落とし、行政を一元化しようと試みてきた。しかし実際は、行政システムのなかで、一見無駄と見える部分こそが権力の集中を抑制し、システムの安定に寄与している面があることも見逃してはならない。例えば、麻生政権下で設置された消費者庁がある。これは消費者の立場に立ち、その行政を一元化することを謳い文句にして発足したが、その実弁護士会の利益主導に偏して進められた。こうして法令遵守は法と正義の名の下に市民社会の自由な経済活動の領域を侵蝕しつつある。それが官のみならず検察、弁護士会、経団連などとの癒着によって進められている。さらには、マスコミが食の危険性を煽ることで、国民の世論を動かす構図になっているのである。

さらに日本政治のなかで自民党の一党独裁が揺らぎ始めていることは、小泉政権の下で党内の野中などの社民派を一掃してしまったことなどが大きい。そのため自民党はオルタナティブを持てず、民主党と同じ政策路線に収斂しつつある。こうした政治の貧弱化によってもっとも喜ぶのは官僚である。何よりも行政の合理化・一元化の真の担い手は誰を置いても官僚以外にはあり得ないからだ。もしかすると現代政治は、改革・公開性・効率化の名の下に、権力を抑制する安全装置を一つ一つ取り外しているのかもしれない。

こうした状況のなかで、政治改革の糸口は、中央集権的な政府か地方分権的な自治体かの二者択一ではない。むしろその両者の特性を巧みに組み合わせていくことにある。そのためにはまずマス・メディアに左右されず議会政治を牽制することのできる知識人と地域を愛する市民とが生まれ育たなくてはならない。それだけが来るべき政治的破局の防波堤になるからである。

広告

コメント / トラックバック2件 to “現代政治についての覚書―専制からの防波堤を市民は何処に築くのか”

  1. どうもーん。

    どんなシステムも 穴 があるんで(+欲望)
    やっぱ根底にはモラルありき すかね。

    朝まで生テレビ・金融危機編オモロー!
    毎回達人が集うが、お題議論にエゴや感情論・モラハラ・嫉妬感etc…が混じる事が許されない空気。匂わすと総一郎に潰されるし(笑)

    誰が正しいか難しいが ソリッドな議論 の勉強にはなるんで好きっす^^

  2. akizukiseijin said

    dbadminさん、コメントありがとうございます。最近そちらのブログが更新されてなかったので、きっとお忙しかったんでしょうね。なにはともあれ、またコメントいただけてホッとしました。そうですか、朝まで生テレビをご覧になっているんですか。なかなか緊張感があっていい番組ですよね。それにしてもあの出演者の方たちはあんなに明け方までしゃべって眠くならないんですかね。いつも不思議です。私はいつも最後まで観続けることができないんです。あの気力に拍手を送りたいです。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中