I am the vine; you are the branches

Shota Maehara's Blog

白鳥

Posted by Shota Maehara : 9月 25, 2008

 

 

一篇の詩ができるためには、空気の無い、それゆえ、無音の空間を横切らねばならない。

 

あたかも神聖な祭壇を前にした時のように、暗闇の中にこうべを垂れる。

幽かな風のざわめき、蟲の鳴き声、物の擦れ合う音が支配する夜の闇。

全身が耳となり、なにものをも聞き漏らすまいとするかのように沈黙する。

 

失われた神聖な古代語でささやかれる夜の闇の言葉は、その意味は取れても、

言語に翻訳することはできない。

だがやがて途方もない時間をかけて、一つの形象が、比喩が、詩句が結晶する。

暗闇の中から頭を抜き去り、溜息をつくと、そこに詩がある。

何行かの美しい文句からなる断章。

 

詩人は帰還する。あたかも長い航海の船旅を終えた旅人が、故郷で乞われるままに、

何を見てきたかを人々に語り始めるように、詩もまた語られ始める。

 

一篇の詩は、いつか生まれた場所へ向けて、小舟に乗せ、海へ還されるだろう。

だがそのときまで、詩は万人のものであり、それゆえ私のものなのだ。

私のものであるがゆえに、万人のものであるのではなく。

 

世界には、飢えや戦争や祭りがあり、すべてが私の心の耳に雪崩れ込む。

それらが一つの比喩となるまでに、一体どれほどの言葉が費やされねばならないのか。

歓待してくれた土地を名残惜しむ旅人のように、後ろ髪を引かれる思いで、言葉にならないimageを

幾つ置き去りにしてきただろう。

 

詩の誓いは二つに割れる。

一つを私が取り、もう片方を白い鳥に結えてあなたの待つ岸辺へ。

 

 

(2008.9.26 秋月誠仁)

広告

コメント / トラックバック2件 to “白鳥”

  1. 朱美 said

    美しい詩。不思議な詩。なぜかこう違う場所に連れていってくれるような。でもとても心地よい。もっとあなたの書いた詩を読んでみたいな。また是非遊びに来たいです♪

  2. akizukiseijin said

    天使が羽を広げているように見えるこの写真は、こちらのブログから借り受けました。
    「沖縄 エステ&リラクゼーション Plumeria ~プルメリア~かずみんの毎日がスペシャル」
    URL⇒ http://plumeria2006.ti-da.net/e1919750.html

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中