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Shota Maehara's Blog

環境保護運動が地球を壊す

Posted by Shota Maehara : 8月 15, 2007

槌田敦の本は世の中のバランスを取り戻し、冷静に環境問題を議論するために今こそ紐解かれるべきだと思います。少なくともゴアの『不都合な真実』のような危険性をあおるだけで何の証拠や論証もしていない政治家的ジェスチャーは消えてなくなるはずです。代替エネルギーやCO2対策は石油を大量に消費しながら、石油の何分の一の効果も生み出さない。これは私がかかわっていた木質バイオマスにも当てはまります。

では、環境問題が少なくともCO2が最大の原因でないとしたら、私たちが今経験している異常気象や砂漠化をどう説明づけたらいいのか。以前の環境コンサルに関わった経験から、私は明治以来の治山・治水などで保たれていた山・川・海・空のエコシステムが破壊されたことに原因があると見ていました。

近年同様の立場から、東京農大の太田猛彦教授は学問的なデータを揃え、学会や政府委員会で積極的に多元的な生態系の循環システムをつくることが単にCO2対策よりもはるかに重要だと主張し、影響力を持ち始めています。彼もまた治水特に治山の権威です。

それにしてもなぜEUはCO2排出規制や数値目標を米・日に強制しようとするのか。本当に環境を守って生きたいという良心や誠実さからか。おそらく眼中にあるのは、弱いユーロのドルや円への対抗のためでしょう。環境でイニシアチブを取れれば、日米の経済優位に水を差すことができる。こう睨んでいるとも限りません。もちろんこれは憶測を出ませんが、大いにあり得ることです。

そもそも排出権をお金で売り買いするなど噴飯ものでしょう。さらにある森林エネルギー研究所のディスカッションの席で、EUが国家レベルで排出権を売買できる取り決めを結ぶこと自体おかしいと意見が出ていました。なぜなら、ヨーロッパ、もちろん日本でも森林はその多くが国有林ではなくて私有林です。ならば個人の森林所有者や環境対策に取り組む業者などが私的所有権として排出権を売買できるべきだと早晩国に対して訴えを起こしかねません。これは十分想定できる事態でしょう。

やはり、大事なのは、環境問題を政府(経済産業省など)や関連企業、そして一部研究費目当ての研究者・学者の手から、市民の手にもう一度取り戻すことでしょう。そして、議論し、運動を起こし、しかるべき処置を政府に訴えていくべきだと思います。その意味で、今日の環境問題の解決のためには、錯綜する情報を冷静に吟味し、それに振り回されることなく自立的な判断で行動することのできる市民の存在が不可欠なのです。

1件のフィードバック to “環境保護運動が地球を壊す”

  1. Critical Horizon said

    日本における自然環境の最大の問題点は、林業の崩壊です。林業は、ビジネスとしての経営が全く機能していない。組合の機能不全です。もちろん、それには山間部での過疎の問題もあります。ここを直さない限り、日本の自然環境の回復は難しいでしょう。

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