I am the vine; you are the branches

Shota Maehara's Blog

水と光と風とともに

Posted by Shota Maehara : 8月 10, 2007

 

私は海岸を歩くのがとても好きだ。海はひと時も同じ表情を見せることは無い。眩しく鮮やかな顔、穏やかな顔、陰鬱な顔、そして荒々しい顔。陽光に輝く空が海と交わる瞬間に一つの詩が生れる。

犬を散歩させる女の人とすれ違う時、歴史の風が頬をなでる。そして私はそっとうつむきながらまた歩き出す。繰り返す波のように海辺から命が生まれ、そして消えてゆく。人は自然の摂理の中にいて、そしてそこからどうしようもなく疎外されている。寄り添う白い犬さえも私と一つではない。

我々の祖先は、大地に降り立ち、山を切り開き、土地を開拓し、家を建て、水を引き、穀物を育てて、命を繋いできた。つねに、人がこの厳しい自然の中で生き延びるために。

嵐で停泊するフェリーの中で、私は独りきりで、自分と世界のことに思いをめぐらせていた。

確かに産業革命以降の人類は、地球を傷つけ、その結果、生態系は大きく変化したかもしれない。だが、人類と自然の間には飛び越えられない深淵がある。これを知ることから逆説的に自然と人間の調和は保たれるのではないだろうか。

だから私は東洋的自然観を疑う。自然を支配する対象とみなさず、一体とみなすことは理性の腐食に他ならない。かつてのファシズムの病理は科学への忌避と自然への回帰として今も人々の心に巣食っている。

人間はこの広い大地の上で生きることを定められたときから、自然と果てしない苦闘を演じ、歴史を紡いできた。このことを忘れるべきではない。理性や都市、つまり文明こそ人間を真に人間たらしめるものである。これが私の信条であり、変わらぬ行動原理なのである。

 

(2007.8.10 秋月誠仁)

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コメント / トラックバック2件 to “水と光と風とともに”

  1. パイオニア said

    素晴らしいエッセイですね。静かでいて力強い。文章とはこうあるべきだというお手本のようです。それにしても知的な方ですね。本当に感心してしまいます。

  2. akizukiseijin said

    パイオニアさん。ありがとうございます。私がブログを始めてまだ間もない時に書いたエッセイです。簡潔な文章ですが、私の考えのエッセンスが凝縮して詰まっている気がします。喜んでいただけて光栄です。ありがとうございます。また遊びにいらしてください。

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