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Shota Maehara's Blog

 佐藤優『国家と神とマルクス―「自由主義的保守主義者」かく語りき』(太陽企画出版、2007年)

Posted by Shota Maehara : 8月 1, 2007

国家と神とマルクス―「自由主義的保守主義者」かく語りき

国家と神とマルクス―「自由主義的保守主義者」かく語りき

佐藤優氏は、近年に稀に見る優れた論客である。今回出版された『国家と神とマルクス―「自由主義的保守主義者」かく語りき』は、小泉・安部政権の国家主義に対し警鐘を鳴らそうとする論争の書だ。

彼によれば日本の保守主義の伝統には、もともと「多元性と寛容の精神」がある。かつて北畠親房は『神皇正統記』の中で、日本の優越性を次の点にみた。つまり、天皇の存在によって時の権力者が力を独り占めできない構造になっていること。この権威と権力の間の絶妙なバランス感覚によって、日本は多様な文化を受け入れながらもつねに国として一つにまとまってこれた。これゆえに「大日本者神国也」(おおやまとはかみのくになり)という有名な彼の考えが出てくる。

佐藤氏はこの多元的で寛容な日本の伝統を高く評価し、「絶対的なものはある、ただし、それは複数ある」という自身の根本思想と重ね結び合わせる。こうした立場から、彼は現在の国家や貨幣の暴力性に対して批判する。人間が作り出したものが、それ以外は許さない行動原則としていまや人々を縛り付けているからだ。

彼の思想を危険で、かつての戦前の天皇制への賛美と斬って捨てることは容易い。しかし、彼は、この古きよき日本の伝統を愛しながらも、その一方でそれを超え出る「何か」を志向しているようにみえる。それが何なのか。少なくともそれが彼を促し、我々をもまた引き付けていることは間違いない。

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